ラテンヲタク

みんなで楽しむ、ラテン文化とスペイン語

Photo:Revtank Outtakes By:theglobalpanorama
Photo:Revtank Outtakes By theglobalpanorama

私は、かつて海外へ逃げたことがあります。

こんな記事で海外志向の学生さんの進路相談をしたのですが、実は私の経験した海外生活は逃げっぱなしの数年間でした。

相談を持ち掛けてくれた学生さんに内緒ですが、せめて懺悔の気持ちを込めて、このエントリーを書きます。

海外に出て、日本を意識せずにはいられない毎日


日本人である自分が日本から逃げることができないと痛感した瞬間です。

特に「時間」に関する感覚の違いにはとても悩まされました。私が訪れた中米では待ち合わせの際に「今すぐ行く」と言われ3時間待ったことがしょっちゅうあったくらいです。

そんな些細な感覚のずれが積み重なると、日常的に「日本ではXXだった」とか「自分ならXXする」と、一種の日本自慢をするようになってしまったのです。

日本が嫌いで海外に出ていったのに、日本のいいところがどんどん浮き彫りになりました。

異常なまでにニッポン化した人間関係


いわゆる日本人会が面倒になる話です。

日本社会から距離を置きたくて海外を目指したのに、目指した地で待ち受けていたのは日本人同士のコテッコテの「お付き合い」な毎日でした。暗黙の了解を強要され、海外居住歴による序列が出来上がる状態だったのです。

同調することが美徳とされ、突出しすぎず、引っ込むこともなく、やり過ごすことが窮屈で仕方ありませんでした。これが、今まで私が抱いていた憧れの海外なのか、と愕然とした気持ちになったのを今でも強烈に覚えています。

私は、日本人である


日本人である自分に一番悩みました。

海外へ出れば日本社会と距離を置き、別の視点で自分と向き合えると思い込んでいました。海外へ出る前は、日本のことを深く知ろうという考えは全くありませんでした。そのため、日本人であるのに日本に関する質問にほとんど答えられない状態に陥ってしまいました。

海外生活を始めると、毎日のように会う人、会う人から「君の国では、○○はどうなってるんだ?」と質問攻めにあいます。日本嫌いな自分が裏目に出て、日本について何も答えられなかったのです。

私は、日本人。日本で生まれ、日本からやってきた人。たとえ、流ちょうに現地の言葉を話しても、私は日本人であり、目の前の現地の人にとって「外国人」なのです。どこへいっても自分が日本人であることからは逃げることができませんでした

日本のことを話せない日本人に興味を持つ人は少なく、海外生活を始めた当初はさみしい思いで過ごす毎日を余儀なくされました。

逃げたはずの日本が恋しくなる


日本人なのに日本のことに関しては無知な自分。

日本のことを質問され、日本人であることを強く意識する毎日。自分の生まれ育った国の文化や習慣を何も知らずに、外国へ出たことに恥じる毎日です。すごく悔しかった。当時抱いた悔しさは、今でも思い出せるのですが、あの頃の気持ちを上手く言葉に表すことはできません。

無知な自分を恥じ、それから日本について調べまくりました。書籍、インターネット、映画、食料品など頼れる手段をすべて取り入れ、日本について少しでも知識を深めようと必死になりました。

すると、嫌いだったはずの日本の良さを理解するようになり、日本が恋しくなってきたのです。

まずは、日本を好きになれ!


海外へ行く前に、日本についての知識を深めておく必要があります。

母国の文化や習慣を語ることは、一つのコミュニケーション手段であり、異文化の中における相互理解をより深い関係にするきっかけにもなります。私は、これが全くできていない状態で海外に出向き、いろいろと痛い思いを経験しました。

海外志向はとても素晴らしいことですが、まずはその熱い気持ちを落ち着かせ、自分たちの国日本を見つめなおす機会を設けてみることをお勧めします。

日本文化における時間と空間
加藤 周一
岩波書店
2007-03-27

この記事が気に入ったら
友達と共有しよう!

ラテンヲタクより最新情報をお届けします

イチオシのスペイン語教材

オススメ書籍一覧

コメント

コメント一覧

    • 1. くりもん
    • 2008年08月19日 22:14
    • そう!日本が嫌いで嫌いで・・・
      たった半年でしたけどNYで暮らしそのお友達もNYが嫌いと言ってました。なぜ?こんなに素敵な街なのに・・・
      でも違ってたお互い違う文化を溺愛し今を逃げたかった二人でした。今思えば・・・
      どこへ行ってもしょせん外国人な日本人、世間知らずな自分を恥じました。そのうち話せるはずの英語も現地で話せなくなりました なんで?きっと日本の良さに気付いたのかもしれません 今では何も思いだせませんが(^^ゞ いつか海外で生活するかもしれませんが日本には定期的に帰ってきたいと思います。
      逃亡した経験がなければ日本のすばらしさに気付かなかったと思いますよ。すべての経験は無駄じゃない!
      そう思いませんか?
    • 2. 管理人
    • 2008年08月19日 22:22
    • まずは、自分たちの国を好きになり、誇りに思えるようにならなくてはなりませんね。いい意味でも、悪い意味でも、日本を客観視して自分なりの解釈の中で好きになる。
      それが、日本の本当のすばらしさに気づくきっかけになるんだと思います。
      で、海外生活が、そういった一連の行動を起こすきっかけになるので、くりもんさんのおっしゃる通り、全ての経験は無駄にならないのですね。
      こんな風に、分かっちゃいるんだけど、やっぱり公開はしますけど。
    • 3. TD
    • 2016年06月26日 01:31
    • 以前、中米に住み、現在南米に住んでいるものです。
      非常に興味深い記事でした。

      海外にいると、常に日本人であるということを意識させられます。

コメントフォーム